「ふりさけ見れば 上」を読んだ感想
遣唐使として唐に渡った阿倍仲麻呂が、日本の朝廷から命じられた秘密の任務を遂行するために、唐政界の中枢を泳ぎながら、上司や親友、現地でめとった妻をも欺かねばならないというストーリーです。
当時の日本の置かれた立場や、越えなければならない壁についても描かれており、歴史的背景を知ることができます。
2023年:37冊目 評価:☆☆☆☆
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遣唐使は日本の朝廷からどのような命を受けて派遣され、中国で何をしていたのか―― 2012年の直木賞受賞作『等伯』に続く、安部龍太郎氏の日本経済新聞連載小説は、対外的に「国家」としての土台を築き上げた8世紀・奈良時代の日本を、ユーラシア大陸・東アジアの中に位置づけて描いたスケールの大きな作品。安部氏の新たな代表作といっても過言ではない。 日本とユーラシアを結びつけるのは、唐で科挙に合格し玄宗皇帝の側近にまで出世したたぐいまれなる日本人・阿倍仲麻呂、そして仲麻呂とともに唐に渡り当時の大唐帝国のすぐれた文化・政治制度を内政に移植した学者にして政治家の吉備真備。唐からは、玄宗皇帝と楊貴妃、安史の乱を起こした安禄山、大詩人の李白や杜甫など、日本でも多くの逸話が知られる人物が続々と登場する。ついに帰国できなかった阿倍仲麻呂が日本の朝廷から帯びていた重大な密命とははたして…… 当時、吉備真備らが持ち込み移植した律令制度はその後いまに続く日本の法律の中に色濃く残る。日本の皇室の儀礼にもこの頃移植したものが少なからず存在し、鑑真和上の招聘による仏教の興隆など、「国家」としての土台はまさにこの頃に築かれたものである。チベット、新疆ウイグルなどとの中国の緊張関係は1300年前から連綿と存在していた。日本と中国の関係、日本と朝鮮半島の関係、中国と朝鮮半島の関係は古代から幾多の戦乱を経て、連綿と今に続くものである。歴史時代区分としては日本の古代を描いた小説ではあるが、ここが「東アジアの中の日本」の視座の原点かもしれない。
「心眼」を読んだ感想
警察官の片桐文雄が見当たり捜査班に配属され、新人として成長していくストーリーです。本作は、デジタル化が進む捜査の中で、人間の感性や直感を大切にすることの重要性を描いています。
捜査1課長とベテラン刑事・稲本との確執も、あまり深堀されることなく、最後まで特に盛り上がるところなく終わってしまった印象です。あれだけの内容でそこまで忌避する内容にはならないので、そこまで感情移入できなかったです。
2023年:36冊目 評価:☆☆☆
「定年後のお金「見える化」入門」を読んだ感想
定年後に向けての準備方法を紹介している本です。定年後によくあるお金の失敗や、定年後の支出・収入について詳しく解説されています。また、退職後に働くことで生きがいを持つことができることも紹介されています。
2023年:34冊目 評価:☆☆
「スサノヲの正体」を読んだ感想
「スサノヲの正体」は、関裕二さんの著書です。この本では、スサノヲのキャラクターが『古事記』と『日本書紀』で大きく異なることや、スサノヲがアマテラスの弟であること、地上界では八岐大蛇を退治して人々を助ける善玉になることなどが詳しく語られています。また、本書ではスサノヲの正体に迫るために、ヤマト建国への関与や祭祀をめぐる天皇家との関係、縄文文化のシンボルなどについても言及されています。筆者は豊富な知識と大胆な仮説で古代史の謎を追っており、本書でもスサノヲの正体について鋭く迫っています。
タニハ(※)と淡路島の位置づけについては、非常に興味深い内容で、普段見ている地図も見る方角・視点を変えるとだいぶん違って見えてきます。
(※)古代は丹後、但馬、丹波は同一国で、分国(713年、但馬国はもう少し前)するまでをタニハと呼んでいました。
2023年:33冊目 評価:☆☆☆☆
「極楽征夷大将軍」を読んだ感想
足利尊氏と足利直義の2人の兄弟と足利家の執事である高師直を中心とした歴史小説です。垣根 涼介氏の歴史小説は、何らかの原則を突き詰めていくプロセスを軸に話を進めますが、今回は「世間」という捉えることが難しい内容を、足利尊氏の成長?と上手くリンクした話に仕上げていました。
太平記とは違った面白さでした。
2023年:31冊目 評価:☆☆☆☆
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史上最も無能な征夷大将軍 やる気なし 使命感なし 執着なし なぜこんな人間が天下を獲れてしまったのか? 動乱前夜、北条家の独裁政権が続いて、鎌倉府の信用は地に堕ちていた。 足利直義は、怠惰な兄・尊氏を常に励まし、幕府の粛清から足利家を守ろうとする。やがて天皇から北条家討伐の勅命が下り、一族を挙げて反旗を翻した。 一方、足利家の重臣・高師直は倒幕後、朝廷の世が来たことに愕然とする。 後醍醐天皇には、武士に政権を委ねるつもりなどなかったのだ。 怒り狂う直義と共に、尊氏を抜きにして新生幕府の樹立を画策し始める。 混迷する時代に、尊氏のような意志を欠いた人間が、 何度も失脚の窮地に立たされながらも権力の頂点へと登り詰められたのはなぜか? 幕府の祖でありながら、謎に包まれた初代将軍・足利尊氏の秘密を解き明かす歴史群像劇。
「津軽の髭殿」を読んだ感想
戦国時代末期から江戸時代初期にかけて、津軽地方を支配した津軽為信の生涯を描いた歴史小説です。
津軽為信は、本州最北の地・津軽に生まれた餓鬼大将で、母に「大将軍になりなされ」と言われて育ちました。彼は津軽を足がかりにして天下に覇を唱えようとしましたが、中央では豊臣秀吉が圧倒的な力で各地の大名をねじ伏せていました。為信は秀吉と対立しながらも、攻城や謀略、先手必勝という手法で版図を広げていきました。彼は元祖・旗印「卍」を掲げて戦い、地元では今も「髭殿」と呼ばれています。
この本は、為信の人間像や戦略を魅力的に描いています。為信は不良大名として憎まれましたが、その一方で人情に厚く、仲間や家臣にも慕われました。彼は自分の信念に従って生きた男でした。
南部信直、九戸政実等、同じ地域の武将としては、唯一関ヶ原合戦にも参加して、最後までしぶとく生き抜いた大名だと思います。
2023年:30冊目 評価:☆☆☆
「家康の選択 小牧・長久手」を読んだ感想
この本は、天正12年(1584年)に起きた羽柴秀吉と織田信雄・徳川家康の間の戦いを描いた歴史小説です。
この戦いは、織田信長の後継者争いの中で、秀吉が信雄を攻めるために出兵したものです。しかし、信雄は家康と同盟を結び、尾張国の小牧山城に籠城しました。秀吉は10万の大軍で小牧山城を包囲しましたが、家康は2万~3万の軍勢で秀吉軍に対抗しました。両軍は砦や土塁を築きながら、小牧山城周辺で約8か月にわたって対峙しました。
本書では、この戦いの経過や背景を詳しく説明するとともに、家康の戦略や心理を分析しています。家康はなぜ、圧倒的な不利な状況でも秀吉に屈しなかったのか?家康はどのようにして秀吉包囲網を形成したのか?家康はどんな決断をしたのか?これらの問いに答えることで、家康の人間像や天下取りへの道筋が浮かび上がってきます。
大河ドラマ「どうする家康」のタイトルを意識した本の題名になっていますが、こちらの家康像(凡人)が個人的には好みです。
2023年:29冊目 評価:☆☆☆
「ゼロからはじめる なるほど!ChatGPT活用術」を読んだ感想
この本は、人間と変わらない受け答えができるAIチャットシステムChatGPTの使い方をやさしく解説したものです。
ChatGPTは、米国のOpenAIが開発した生成型AIで、幅広い分野の質問に詳細な回答を生成できます。例えば、ビジネス文書やメールの作成、情報検索や翻訳、プログラムや画像の生成など、さまざまなシーンで役立つことができます。しかし、ChatGPTを使うには、適切な質問や指示(プロンプト)をすることが重要です。
そこで、本書では、ChatGPTの基礎知識から実践的な活用法まで、具体的な例を交えてわかりやすく説明しています。
本書は、話題のChatGPTに興味がある人や、どのように使っていいのかわからない人におすすめです。ChatGPTの無限の可能性を感じてみたい人もぜひ読んでみてください。
今後は、「プロンプトエンジニア」と呼ばれる仕事が出てくる!?
2023年:28冊目 評価:☆☆☆
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無限の可能性を秘めたChatGPTの世界へ飛び込もう! 人間と変わらない受け答えが話題のAIチャットシステムChatGPT。幅広い分野の質問に詳細な回答を生成できることから、世界中で大きな注目を集めています。米国のOpenAIが2022年11月に公開してから半年が経ちますが、関連サービスは増え続け、日々新しい話題に事欠かない状況が続いています。 そんな話題のChatGPTにまだ触れたことのない人、少し使ってみたけどなんだか物足りなさを感じている人のために、本書ではやさしく簡潔に活用方法を紹介します。 ChatGPTがどういったものなのかいまひとつわからない、使ってみたいがどのように使ったらいいのか、どのように使うと効率的なのかわからない、そんな人のためのマニュアルであり、アイデアブックです。 実際、適切なかたちで質問や指示をすることで、かなり詳細な回答が得られ、さまざまシーンでの活用が考えられます。個人的な相談事や資料作成などでの利用はもちろん、ビジネス文書作成やブレインストーミング、情報検索などビジネスシーンでも工夫次第でさまざまな活用が考えられるでしょう。 今後の私たちの生活・ビジネスに確実に浸透していくであろう生成AI、ChatGPTの世界に、本書を通じてぜひ飛び込んでみてください!